コロナ禍で大打撃、航空業界の今後と代替燃料

 この度のCOVID-19の世界的流行によって航空業界は大きなダメージを受けた。航空需要が9割減という数字が重く語っている。世界的にも数多くの航空会社が破産に陥り、日本においてもLCCのエアアジアジャパンがその流れを受けた。
人々の移動が制限される中で伸びたのは貨物事業であった。世界的なコンテナ不足から、貨物の輸送比率は2019年の12%から20年には34%に増えたことは、航空業界で唯一の明るい材料となった。
ビジネスでの移動需要については、コロナ禍でテレワークが発達推奨されるに伴い激減している。そのため、旅客需要の回復は必須であり、ワクチンの普及によるこれからの人流の流れに期待したい。実際にここ2年ほどの停滞により、旅行者のフラストレーションはかなり溜まっていると思われ爆発的な移動につながる日もそう遠くない。旅客需要については価格に敏感に左右され、そのために大手業界が値下がりに踏み切ることも考えられる。その場合、LCCとの差別化が難しくなり更なる値下げ、格安だけでないサービスの提供が求められてくるのではないか。

日本においてはまだ大きな流れは見られないが、ヨーロッパ主導による脱炭素の波はおおきく、短距離航空路線が鉄道に切り替えられるという動きもある。日本にもその流れがおこらないとはいえず、実際ヨーロッパでは「飛び恥」(Flighi Shame)という言葉まで生まれ二酸化炭素の排出が多い飛行機に乗るのは恥ずかしいという考え方まで出てきている。
脱炭素の流れから石油を使用しない代替燃料SAFの使用を今後進めていく方針があり、2020年ノルウェーでは航空会社で使用する燃料のうち0.5%を代替燃料であるSAFを使用するよう義務付けることになった。2030年にはこの比率を30%にまで引き上げる方針で、今後代替燃料の使用にシフトしていくのが世界的な流れとなってきている。
このSAFとはトウモロコシなどの植物原料や、食品廃棄物、廃プラスチックなどさまざまな原料から開発されている。従来の化石燃料よりも80%程度二酸化炭素の排出を抑えることができるとされている。現在は特に欧州での開発が進んでいるが、生産できているSAFは世界需要に対しての0.03%にすぎず争奪戦になっているのだ。日本はこの規制に完全に乗り遅れており、代替燃料を輸入に頼らざる得ない状況がある。このままでは飛行機が飛ばせないという未来も現実味を帯びてくることを鑑み、日本最大手2社、ANAとJALは共同でレポートを発表、国産SAFの必要性を訴えている。このレポートによると2050年までには需要の全てをSAFで賄う必要があり、その頃には国産と輸入を半分ほどの割合にしていきたいという。巨額の投資も必要となるため、官民一体での取り組みが必要だと訴えている。
コロナ回復後は、世界的にも航空需要は増加していくことが予測されている。
代替燃料の国産化など多くの問題をどう乗り越えるのか、今後の流れに注視していきたい。