滑走路

空港の概要

日本で定期旅客便が就航する空港で最も短い滑走路は800mで、主に離島の空港で小型プロペラ機の運航のみである。B737などの小型ジェット機が飛ぶには最低でも1500m、B767などワイドボディジェット機には2000m、B747ジャンボ機による国内線の離陸には2500m、B747やB777による欧米便の離陸などには3000mがそれぞれ必要である。成田や関空など国の玄関になるような国際空港では、あらゆる機種の貨物便の離陸や悪天候時でも着陸できる長さが求められるため、3500mや4000mの滑走路を持つ。4000m滑走路は必要に越したことはないが、3500mでも現在の運用には差し支えないというのが現状である。

関西空港B滑走路に関しては、海上なので用地確保は容易であるが、高額な着陸料の影響で便数は増えず、費用対効果の点では微妙なところである。滑走路の長さに関しては発着する機体に注目されがちだが、同じ機体でも国内線の旅客便と国際線の貨物便でかなり異なる。重さと同時に長距離必要なのが、離陸中にエンジントラブル等で離陸中止が必要な場合で、それを想定して長さが決まる。離陸時、離陸決定速度に達する直前でトラブルがあったとして、離陸中止に必要な長さが求められるためである。滑走路の長さが足りないと思われるのは、成田空港のB滑走路(2500m)である。当初、A滑走路側のターミナル1が長距離便、B滑走路側のターミナル2がアジア便とする計画があったが、これは約40年前の計画で、実際そのような運用はされておらず、滑走路延伸が望まれる。

また、滑走路の数は多ければ良いというわけでもなく、滑走路の数が多いと発着便が多いとも限らない。例えば、2本の滑走路が平行に並んでいれば、片方を離陸専用、もう片方は着陸専用での使用が可能だが、十字に配置されば同時使用ができない。しかし、2本の滑走路が交差している空港は、アメリカのシカゴ・オヘア空港やオランダのアムステルダム・スキポール空港など世界にはある。理由は気象条件が関わってくるからである。航空機は向かい風で離着陸を行うことで、翼に発生する揚力が大きくなり、機体を安定させることができるが、滑走路を1本配置しても、強い横風が頻繁に吹くなら、横風用滑走路が必要になる。このため、横風用滑走路が標準の滑走路と十字で交差する形で配置される。